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随想15 マイルドヤンキーの本屋

元日はあまり眠れなかったのか比較的はっきりした夢を見たのだがしばらくしたら忘れてしまった。そもそも元日は無意味に近いRIZIN.40の長大な感想を書いて潰れたので思い出して書く内容もないのだが、人並みに餅やおせちなどを食べて過ごした。雑煮を食っていると自分の味覚がコロナで壊れたままなのではないかという恐ろしさに襲われる。

 

1/2は毎年思うが閏年のような日取りで、1/1の特別さ、1/3の三が日の終わり感の間に挟まれた蜃気楼のような日で、1年の計は元旦に〜などと言われつつ1/1を有意義に過ごせたことがない自分にとって、1/2こそが重要なのではないか、と思うような日にちでもあった。そういうことで、僅かな抵抗として少しばかり營業の本を読みながら勉強をした。もう少し文学や哲学の本を読むことも必要だが、勉強始めができたことはいずれにせよありがたいことである。

 

年始に空いているという理由でイオンに行ったが、イオンに行っても行く所は本屋しかなく、イオンの本屋とは未来屋書店のことだが、絶望的な気持ちになった。自分が読みたい本が売っていない。地元で買っても持ち帰る荷物が多くなるだけだが、せっかくだから柄谷行人の『力と交換様式』でも買おうと思ったが、そういった類の本はほぼ何一つ単行本としては置いていなかった。文庫でベストセラーものが置いてあるだけで、いまだに国分さんの『暇と退屈の倫理学』がフィーチャーされているのに、『スピノザ』はどうも置いていない。置いてあるのはマイルドヤンキーに最適化された本ばかりで、金儲けに近接したビジネス書とアイドル写真集と生活関連と、あとはとても売れている一部の本だけ。逆にいえば、ベストセラー市場で戦うとはこのラインナップで戦うことでもある。この陳列からは、上を目指す上では逃れられないということは忘れてはならない、と思いながら、何も買わずに帰宅した。